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2010.10.20

またまたこっそりと……

コソコソ


感想アドバイスはコメントへ






全員でバーべキューの片づけを済ませ、テレビの置いてあるコテージの一室。そこには数人の男女が集まり談笑していた。
「……。」
「……。」
無言でにらみ合う二人、一人の手にはトランプが一枚、もう一人の手にはトランプが二枚。
トランプを一枚持っている人物が二枚持っている人物のトランプに手を伸ばす。
そして引き抜く、一瞬の静寂。
「よっしゃぁーっ!俺の勝ちだぜぇーっ!!」
雄たけびを上げトランプをたたきつけるその人物――田中は今にも小躍りしそうなほどテンションがあがっている。
「くっそ……運が悪かったな……。」
そう一人ごちる俺こと管理人、今の勝負は買出しの人員を決めるババ抜きだ。
「積年の恨み晴らしてやったぜ、ひゃっほーう!!」
田中は本当に小躍りをはじめた。いっそのこと殴ってやろうかと思ったが皆が見ている手前殴るに殴れない。
なぜ買出しごときでババ抜きをしていたのか、理由は一つ。
単純に自販機ですら遠いからだ。
コテージは木立の中に立っており道路に出ることですら数十分を要する。
さらに全員電車など公共の交通機関を利用しているため自転車などはない。
かと言ってエコー兄さんの乗ってきたスポーツカーは乗る気になれない、というよりなぜか兄さんは酔っ払っており今の状態であんな高そうな車を走らせる……なんて恐ろしいことはできそうもない。
そういった色々な要因が重なったため誰かが「ババ抜きで決めよう!」と言い出しあれよあれよというまに全員巻き込まれてしまった。
結果は先述の通り。田中が踊り外野が囃し立てる、そしてコテージから出る俺。
これって立て替えるだけだよな……おごりなんて言う条件は……なかったはずだ。
ジャケットを着るにはまだ早い季節、しかし夜はさすがに肌寒いのでチェックの上着を羽織る。
薄暗い木立いの中、懐中電灯片手に一人寂しく歩く俺、一応道は作られているし電灯もところどころにあるのだが暗いものは暗い。
怖くは無い。そう怖くは無いんだ。ときどき飛び立つ鳥達にびびってしまうが怖がってなんていない。
少々怖がりつつ、じゃなかった驚きつつも数十分をかけたどり着いた自動販売機。品揃えは……なぜか味噌汁やお汁粉があるがスルーしてコーラやオレンジジュースを適当に買う。
ちなみに来る前にリクエストが聞こえてきたが胡椒博士なんて売っているわけがない。
「ってあったよ、胡椒博士……。しかもわさび風味新発売って……ものすごく不味そうなんだが……。」
まぁ一本ぐらいは買って行ってやるか、田中のヤツにはこれで十分だろう。
「お?そういえば俺一人でこの量を持つのか……?さすがに無理だな、袋の一つでも持ってきたほうがよかったな。」
九本くらい持てないことはないのだが落としてしまうと面倒だ。しかも懐中電灯を持っているため片手しか使えない、これでは落とす可能性は大だ。
「一度戻るか……?いやそれも面倒だな、やはり片手で持つか懐中電灯をつけずに行くか……ん?」
何か人の気配とカサッ、という音が聞こえた気がする。
懐中電灯にかかるコンビニ袋、遠ざかる気配。
「……。」 
お節介な子猫もいるものだ。そんなことを考えつつ自販機で買ったジュースを入れコテージへと戻る。
そうそう、胡椒博士を試飲してみたがとてもケミカルな風味だったよ。わさびなんて入れるものじゃないね。
コテージに戻りジュースを配ったのはいいんだが手持ち無沙汰になってしまった。しかしこんなところにまで来てすることが読書と言うのは芸がない気がしてしまう。
そんな事を考えていたからかはわからないが田中が隣に座ってきた。
「やっぱりさ、こういうのっていいよな。修学旅行の夜みたいでさ。俺なんて興奮して眠れそうにないぜ。」
「わからないでもない。だが俺の修学旅行の夜の思い出と言えば、友人に入れてもらった風呂の温度が六十度で右足に軽い火傷を負ったぐらいしかないぞ。」
「犯人は僕じゃないよ?」
と、異夢もやってきて反論する。
「まぁ、同じ班だったんだから同罪だ。次の日なんて足がちくちくしてまともに歩けやしなかったんだからな。」
田中は胡椒博士を一息に飲み干す、そして枕を持って立ち上がる。
「やっぱ修学旅行って言えばコレだよな!」
「すまない、俺にはお前の言っている言葉を理解できない。むしろ理解したくない。」
反論するが効果はまったくなし。田中は枕を振りかぶる動作をしつつ眼鏡を爛々と光らせる。
「枕を投げあい共有する痛み、そして育まれる友情――素晴らしいとは思わないか!?」
知るか。痛みから友情が生まれるのなら今すぐ貴様にインドメタシンを打って痛みを感じないようにしてやろうか。
ちなみにインドメタシンとは脳からでる痛覚を伝える成分、キトンやアミンを出させなくし痛みを感じさせなくする鎮痛剤だ。
打ち続けると不痛症になるという例もあるが滅多にないので大丈夫だろう。
田中がかつてない勢いで熱弁を振るっているが面倒なので割愛。


夜も更けてきたので日付が変更する前に解散、金成やザキエルあたりはまだ解散には早いとごねていたが問答無用で戻らせた。
そして北陸組のコテージでは田中の熱弁が揮われる中、関西組はというと――

「――ですよー。これとかもいいと思いませんか?」
「いいですね。よく似合ってると思いますよ、慶應嬢。」
とガールズトークが始まり男を寄せ付けない女性が二名。
反対側では無言で絵を描くプラヌズが一名。そして放送コードに引っかかりそうな会話をしている金成とザキエルもいる。

どちらのコテージも賑やかだったが日付が変わり一時間もすると睡魔が平等に襲い掛かった。
こうして初日の長い夜は終わりを告げる。



二日目、軽い低血圧でイライラしている俺は寝台から起き上がる気力すらなかった。
たっぷり五分ほどかけて起き上がるとすでに周りの寝台に人がいる様子は見受けられない。
携帯で時間を確認するとすでに九時を回っている。
そういえば昨日の話では朝食は各自で、と言っていた事をうっすらと思い出す。しかし自販機ですら遠いこのコテージ、寝起きの俺ではさらに遠くにあるコンビニにすらいく気力が失せるというものだ。
「……腹減ったな……。まぁ眠ればそんなのは関係ないか。」
つぶやくように言ったかと思えばすでに寝息をたてているように他人の目には写っただろう。
実際そうなのだから当たり前だ。
だが世の中にはそんな状態の人間を見てもお構いなしに突っ込んでくる人間がいる。
「おにーたーん!出かけようよ出かけようよー!」
「外はいい天気ですよ。起きてこないと抱きつきますよー。」
「ほーらー抱きついてぐおっ!?」
しまった、抱きついてきた人間を蹴り上げてしまった。まぁ田中の声だったので無視しておこう。
しばらくは狸寝入りを決め込もうと思っていた矢先に抱きつかれてしまった為、狸寝入りだとバレてしまった。それもこれも田中のせいだ、あとで五発ほど殴っておこう。


そんなことがあった朝の後、時間はすでに正午近くを指していたが遅めの朝食兼昼食を食べるためにコテージの外にある大き目の備え付けのテーブルに座る。
昨日はおにーちゃんにやってもらったので――とのことで朝食は伽薙と慶應が作ってくれるようだ。
ちなみに顔文字のヤツも料理はできるはずなので試しに聞いてみたところ「菓子作り専門だから。それに面倒。」とのこと。
菓子の方がよっぽど作るのが面倒なのでは……という言葉はあえて口にはしないでおいた。
しばらくして食事が運ばれてきて、金成やプラナズ、ザキエル達と雑談を交わしながら綺麗に平らげた。
「ふう、うまかったよ。たまには他の人が作った料理を食べるっていうのもいいな。今度いくつかレシピを教えてくれないか?」
「お口にあったようでよかったです。あれは――」
他愛もない雑談が繰り広げられる。
いい感じに腹もこなれてきて、次は何をしようか――などという話題が出てきたころ。


エコー兄さんこと残響死滅はスポーツカーを猛スピードで乗り回していた。
もちろん法定速度は守っているので何ら問題は無い。
後部座席で鼻歌を口ずさむエコー。
運転席には白髪交じりのそろそろ初老と思われるメガネをかけた厳格そうな男性。
しばらく公道を走っていたと思ったらいつの間にか人気のあまり無い道に出ている。
男性はスピードを落とし五階建ての建物の脇に車を停めエコーを促す。
「ありがとね、爺や。」
「いえいえ、では一時間ほど経ちましたらお迎えに上がります。」
「わかったよー、またあとでね。」
そういうと爺やと呼ばれた初老の男性は車を発進させる。
「さてと……彼はいるのかな?」
そういって人が住んでいる気配などは皆無のビルへと足を運ぶ。
周りにもビル郡はあるがどれも人の気配は無い。
それどころか道路にも人影は見られない。
「不気味だねぇ。」
あっけらかんとそういってしまえるエコーはある意味すごい人種なのではないだろうか。
電気がつかない、嵌め殺しの窓から入るわずかな日光のみが頼りの不気味な建物を鼻歌を口ずさみ、独特のテンポで歩いていエコー。
しばらく歩いて五分ほどだったろうか、エコーは一つの扉の前に立ち止まる。
そこからはビルには通っていないはずの電気の光が漏れていた。
何の躊躇いもなくエコーはドアノブに手をかけ――扉を開ける。
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この記事へのコメント
残響死滅兄さんがwすごいキャラすぎるw
田中さんも大活躍だwチャットにも来るように言ってくれ
後は骨めがねさんはどこにいったんだw
実際とは一番違う点と思われるのは、プラナズはインドア派というよりはアウトドア派で、どっちかと言うと絵を描いてると言うよりは踊ったり走ったりしていると思う。
Posted by zakkiel at 2010.10.20 23:41 | 編集
聞くの忘れてた、これってまだ第1章?
Posted by zakkiel at 2010.10.21 01:19 | 編集
章とかは俺の気まぐれ
Posted by 産業 at 2010.10.23 18:44 | 編集
今更だけど続きやるとは思ってなかったよ
このまま書いていってくれw
兄さんはキャラが酷似している気がする
頑張れ
Posted by 常盤金成 at 2010.10.24 21:42 | 編集
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